令和2年度文化庁伝統文化親子教室事業
事業の目的・概要
「木野かわらけ」の製作技法はろくろを使わず、手のひらでまるめ、肘で粘土をついて形を作り上げていく独特の伝統的工芸技法である。この技法を地域の人々と学び、継承していく必要がある。
「木野かわらけ親子教室」を開設し、地域の人々や親子でこの技法を学び、体験を通して保存継承していく。親子教室では、制作に使う道具を準備し、「木野かわらけ」の歴史を学び、土づくり、かわらけ制作、乾燥、窯入れ、火入れ、窯出しなどの体験をする。また、制作過程をビデオ撮りして、地域や親子教室で活用する。
木野地域の歴
- 愛宕神社・野々宮神社の神官、土器師
- 小倉山麓深草里に居住(野宮神社領内)
- 天龍寺創建で分かれて移住(八軒町と幡枝)
- 応仁元年(1467)能き埴土を求めて嵯峨から福枝(幡枝)へ移住(43軒)
- 元亀3年(1572)木野芝に移る。その後、現在の木野町に70間四方の村を作る。(40軒)
- 移住後も愛宕神社・野々宮神社の神官を勤める(神事のため年間18回以上嵯峨へ通う)
木野かわらけの歴史
- かわらけ(土師器皿)は、日本の中世から近世にかけて製作・使用された素焼きの土器。その中でも特に碗・皿形の器種を指す語である。
- かわらけは漢字で書くと瓦笥という字があてられる中世によく使われていた土器で、食器や儀式や祭祀(さいし)に使われていたもの。
- 伝統を担った木野のかわらけは、宮中や社寺での伝統行事に必要不可欠の物質であった。
- 弥生式系統の土器で最も古式の手法である「手ずくね」である。
- 伝統的に最も神聖なるものとして主用されていた
土器製作の順序 1
- 土づくり(杵でたたいて粘り気を出す)
- うつげやほえを使ってかわらけを作る
- 粘土を丸める
- 丸めた粘土を平たくする
- 肘でさらに平たく皿のようにする
- 平たく皿のようになったものを「うつげ」を使ってさらに薄くする
- さらに薄くしたものを「ほえ」を使って形を整える
- 土器を乾燥させる
- 乾燥状態を調べる
- 土器焼成窯に入れる
- 一昼夜、窯に入れておく
- 窯出しをする
- 出来た瓦笥を藁で縛る
- 作品の発表会をする
「木野かわらけ」についての研究論文・参考資料
- 考古学雑誌 第21巻第3号 昭和6年発行 島田貞彦著
- かわらけと木野誌 昭和4年11月発行 藤本求一著
- 京・岩倉木野の土師器 平成13年5月発行 田中一廣著
- 岩倉(木野・幡枝)の地域社会と環境変化平成 14年5月発行 京都精華大学地域計画演習レポート 嘉田研究室
- 木野のかわら整理報告 平成24年発行 京都産業大学
- 洛北岩倉研究第2号 平成10年発行 中村治著
- 木野村寺院の歴史 山下信英著
- 木野・幡枝カワラケ(土師器皿)製作方法の復元的研究 東洋一著
- 第36~43号 とれんち 昭和54年 京都大学考古学研究会
- 岩倉木野町の歴史調査調査概要報告1,2 京都精華大学公募研究
等の多数の研究論文がある
令和2年度文化庁伝統文化親子教室事業